『現代経済学の群像』
執筆日時:
- 作者: 都留重人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/09/15
- メディア: 文庫
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都留重人 - Wikipedia による「近経」経済学者の列伝。「近経」という言葉は経済学部ではない人にとって危機馴染みがないかもしれない。「近代経済学」の略で、“限界革命”(限界効用理論 - Wikipedia)以降の「マルクス経済学」(マル経)ではない経済学を言う。
近代経済学の経済学史のようなものを学びたい人が真面目に読んでもいいけれど、気軽な読み物として接するほうがいいかもしれない。
目次
- プロローグ ―― 近代経済学とは
- 第一話 メンガー ―― オーストリア学派の父
- 第二話 ワルラス ―― ローザンヌ学派の始祖
- 第三話 ウィックセル ―― マクロ経済学の先駆者
- 第四話 フィッシャー ―― 米国「近経」の開拓者
- 第五話 ケインズ ―― 新古典派を乗り越えた教祖
- 第六話 シュンペーター ―― 学派を超えた非凡の教師
- エピローグ ―― ハーヴァード黄金時代
どれも超一流の人だなぁ(当たり前か)。
メンガーとワルラスの伝記が個人的には気に入ったし*1、ヴィクセルの伝記はとても興味深い*2。著者が薫陶を受けたシュンペーターの伝記は息遣いすら感じられる思いすらする。ケインズはあまり好きじゃない。
この本を読んで意外に思ったけれど、べつに数学や英語が完璧にできなくても、偉大な経済学者になることは可能であるらしい*3。ワルラスなんかは数学バリバリで、もっと数理的に生きていたのばかり思っていた。あれは彼らの後継者が数学方面だけを頑張りすぎて、教科書がどえらく無味乾燥になってしまったというだけの話らしい。
エピローグは懐かしい思い出話を聞いているような気分で、楽しくもあり、ちょっと切なくもある。