ネポス 『英雄伝』

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英雄伝 (叢書アレクサンドリア図書館)

英雄伝 (叢書アレクサンドリア図書館)

絶版になってたせいで、高かった(現在、Amazon で中古 8,499 円)。状態はとてもよかったのだけど、買っても著者になにも還元されないのは悲しいところがある。というのも、著者の一人・山下太郎先生には京都工芸繊維大学で一度お目にかかったことがある(友達の伝手で研究室にお邪魔した!)。先生は今でもラテン語教室を東京・京都などで精力的に開いてらして、自分もいつか参加したいとおもっていたのだけど、それがかなう前に松山に引っこんでしまった/(^o^)\ ラテン語の入門書も積んだままだし、ほんとダメ人間だなぁ。それもこれもお金と時間がないのがあかんのや。

ラテン語勉強したい人は、先生が運営しているこのサイトがおススメ。格言を調べるにも便利だったりするし、たまにつまみ読みしても楽しい。

――それはさておき。

コルネリウス・ネポスはキケロやカエサルと同じぐらいの時代の人らしい。アッティクスとも親交があったようで、多くの著作をものした文筆家だった。残念ながら、現存しているのはこの『英雄伝(著名な人物について)』だけで、しかも割と間違いが多くて資料的にはあまり評価が高くない。想像するに、現在で言うところの“売れっ子作家(※ただし、死んだら忘れられる)”みたいな感じなんじゃないかな。

本書で扱われている人物は――

ミルティアデステミストクレス、アリスティデス、パウサニアスキモンリュサンデル(リュサンドロス)アルキビアデストラシュブルスコノンディオン、イピクラテス、カブリアス、ティモテウス、ダタメス、エパミノンダス(エパメイノンダス)ペロピダスアゲシラウス(アゲシラオス2世)エウメネス、ポキオン、ティモレオン、ハミルカルハンニバルカトアッティクス(日本語の Wikipedia にページがある人物については、リンクをつけておいた)

の24人。それに“諸王について”というしょうが加わって全25章となる。もっとも、これは現存している一部のみで、本当は約400人ほどが扱われていたのだという。

それぞれの人物に対する叙述は極めて簡潔で(ただし、アッティクスなどは除くw)、たとえばポキオン(フォーキオン)の章は3ページと一行に過ぎない。史書としての評価は前述のとおり低いのだけど、本人は別に“歴史”を書きたかったわけでなく、その人となりを描いた“伝記”にしたかったようで、読んだ人がなんかしらの道徳的教訓を得たり、人物を身近に感じてくれればそれでいいと思っていたみたい。というわけで、自分もそういうつもりで読んだ。

それにしても、日本語の Wikipedia にもページがない人物が多いな。もうちょっといろいろ読んだら、わしがちょっくら充実させてやるか(