『新版 日本神話』『古事記』

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新版 日本神話 (角川ソフィア文庫)

新版 日本神話 (角川ソフィア文庫)

『古代からの伝言 日本建国』 - だるろぐ だけ読んでてもダメだなーと思い、まずは本書を Kindle で購入。とりあえず全部読んだけど、神話の検討はしていても、神話そのものの話はしてくれていないので、ちょっと自分には早かった。

新版 古事記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

新版 古事記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

というわけで、Kindle で買える『古事記』も買った。思ったよりも短いのな。まぁ、あんまり長かったら稗田阿礼の脳味噌、パンクしちゃうか。

日本神話が北方由来か南方由来か、どの神話の影響を受けているのか、どこまで史実でどこから仮構なのか、欠氏時代の天皇は実在したのか、天皇は朝鮮から来た騎馬民族なんじゃないか、万世一系なんか嘘っぱちだ……まぁ、いろんなモノの見方はあるけど、やっぱりまずは直に読んで、自分なりに感じてみるのがいいなぁ、と実感した。

たとえば、ニニギが高千穂に降りるとき。

筑紫の日向の高千穂の久士布流多気(くしふるたけ)。そこに立って、邇邇芸の命が言うには、ここは韓国に向ひ、笠沙の御前に真来通りて、朝日の直刺す国、夕日の日照る国ぞ、かれ、ここはいと吉き地

「筑紫の」とか「韓国に向ひ」という文言から、高千穂を北九州に比定する『新版 日本神話』の説はもっともだと納得したけど、実際に『古事記』を見るとちょっと違う景色が見えた。

というのも、はじめイザナギとイザナミは

と今の日本列島を形作る島を作っていくのだけど、この物語を分断・分析せず、そのまま素直に読み進めていけば、「筑紫の日向の」の「筑紫」は「筑紫島」のことを言っているのだととった方がすんなり理解できる。

だいたい「筑紫の日向の」って、二つも律令国の名前が並列になっているの、おかしいよね。「朝日の直刺す国」っていう表現も、朝日の方角に向かって海が開けているイメージ。わざわざ後代、神宮を伊勢に作ったのも、同様に「日向(ひむか)」の地だからかなと思う(日本全国探しても、ほかには房総などしか思い当たらない)。笠沙岬を回れば、韓国(中国)にも向かい合っている。だいたい、スケールのデカい国生みの話と、これまたスケールのデカい東征の話の間に、ちまちまと北九州のどこかのちっこい湾の話なんかしないと思うんだよね。間尺があってない。

――まぁ、このイメージが真実かはわかんないけど。

あと、「八木倍年説」も納得がいくとかつて言っていたけれど、神武天皇のあとの天皇は40歳、50歳ぐらいでなくなっているケースも多いんだね。これ、半分にしちゃうとだいぶ夭折していることになっちゃうのだけど、大丈夫なのかな。

そういうことも直接原典に当たって気付けたし、どっちの本も読んでよかった。とくに『古事記』の歌は、声に出して読んでもなかなかいい感じ。まずこっちを読んでみるのがお勧めだね。現代語訳だけ読むんだったら、割と一瞬やで。