『数学とは何か』
執筆日時:
- 作者: マイケル・F.アティヤ,志賀浩二
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2010/11/25
- メディア: 単行本
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とあるブログで目にして興味を持ったので、その場でアマゾンをポチった……けれど、わしには難しすぎたので、わかる部分だけツマミ読みした。
まぁ、それはともかく、このアティヤっていうひとは、だいぶすごい人らしい。
マイケル・アティヤ(Michael F. Atiyah、1929年4月22日 - )は、アティヤ=シンガーの指数定理、ゲージ理論の研究などで知られるイギリスの数学者。現代最高の数学者の一人とみなされている。
1966年にフィールズ賞受賞、1968年にロイヤルメダル受賞、1980年にド・モルガン・メダル受賞。1983年に英国王室よりナイトの称号をえる。2004年にはアーベル賞をイサドール・シンガーとともに受賞した。その発想は素直で自然であり、数学の諸分野、また理論物理学までをも結びつけるスケールの大きさが印象的である。業績が多分野に関係するせいか、数学者には珍しく共著の論文が多い。
共著者が多いとのことなので、エルデシュ数(エルデシュ数 - Wikipedia)を調べてみたら「3」だった。
指数定理(アティヤ=シンガーの指数定理 - Wikipedia)の発見で知られているらしいのだけれど、これは「解析学(代数ってことかな!)と幾何学という見かけ上異なった体系の間のつながりを与えているという意味で20世紀の微分幾何学における最も重要な定理ともいわれる」のだそうだ。本書からも「数学の統一性への確信」が何度も触れられているが、この定理もその産物なのだろうか。
一つの数学
数学の一体性。
数学は一つなのか? それともいくつかの部門からなる烏合の衆なのか? 本書では、代数と幾何の間にある緊張について触れられているのでそこを引こう。
代数は時間の中に演算操作との関わりを見出し、幾何は空間自体と結びついています。
時間と空間。ちょっとカントの話なんかを思い出した。人間は、この二つの方法を介してしか、経験できない。
アティヤが代数学者に対して少し辛口に言うには、「代数の目的はつねにひとつの公式を作ることであり、それはいわば機械に乗せ、ハンドルを回すと答えが得られるようなもの」なのだそうだ。しかし、幾何には直観的な部分がある。そして、これは分けて考えるべきではなく、協同させるべきものだ。
「あなたは幾何学者なのですか? それとも代数学者なのですか?」と聞くことは、「あなたは耳が不自由な方がよいですか? それとも目が不自由な方がよいですか?」と聞くようなものです。
両方とも扱える方がいいにきまってる!
けれど、時間と空間が“繋がる”ってどういう感じなんだろう?
フィールズ賞と日本人
もう一つ興味を持ったのは、フィールズ賞についてのくだり。
いくつかの国では、この賞は大きな名声となります。たとえば日本がそうです。日本ではフィールズ賞をとることは、ノーベル賞をとるようなものなのです。ですから、わたしが日本に行き、紹介されたときは、ノーベル賞受賞者のような気分になりました。しかし英国では、だれもまったく気に留めてくれません。
アティヤ自身、フィールズ賞が若手に刺激を与えているという点はある程度認めつつも、「数学ではフィールズ賞はどんな効果ももたらしません。したがってネガティブな効果というものもないのです」としている。そろそろ日本人もミーハーなところを直すべきか。
まぁ、才能を称えることはよいことだと思うし、関心があるのもよいことなのかもしれないけれど。イギリス人が、頭がよすぎて賞に関心がない人と、頭が悪すぎて賞に関心をもてない人に二分されているだけなのかもしれないし。
ちなみに、本書で挙げられていた日本人数学者は 小平邦彦 - Wikipedia だけだった。