5月28日:指を火傷した

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また、一人暮らしが始まった。上げ膳・据え膳な実家よりはいろいろ大変だけど、一人暮らしもそれはそれで気楽だ。好きなものを好きなだけ、好きなときに食べられるし。うちはリモートワークだから、放っておけば一日中座っていることになる。なので、家事は結構気晴らしによい。1カ月余りの東京暮らしでさらに太ってしまったので、ちょっとは動かないといけないしね。

しかし、古の人曰く、「油断はたい焼き」。不覚にも、指を火傷してしまった。

そもそも、親父が悪いんだよ。

長期出張の出かけ際にキレイに掃除してくれたのはいいんだが――鍋に火をかけると、なんか安定感に欠ける。五徳の付け方をまったく間違っているのだ。仕方ないなぁ、とまだ熱くなさそうな端っこの方をつまむと……その実、めっちゃ熱かった。仕事のことを考えながら飯作ってたせいで、とんでもないチョンボをしてしまった。しかも、たまたま脊髄があまり活発ではなく、神経伝達が小脳か、大脳の手前まで行って帰ってくるまでの結構長い間、のんきに右手の親指と人差し指で熱い五徳をつまんでいたから、みごとその両方に真四角の水ぶくれをこしらえてしまった。

はい、悪いのは完全に僕ですよね。

すぐに水で冷やしたけど、思わず悶絶した。でも、おかげで、右手の親指と人差し指が使えないとどれだけ生活に支障が出るかがよくわかった。

まず、常に冷やしていないと大変痛い。10秒もすると、指が燃えるように熱くなる。そのため、冷蔵庫から冷えた缶ビールを持ち出して仕事机に置き、定期的につまみながら仕事をした。缶ビール、ひやこいのう……しかし、視界の端に缶ビールがチラチラするというのは、どうも集中を妨げてよくない。しょうがないから、冷凍庫にいれていた冷却材を取り出してタオルを巻き、それをつまみ、つまみしながら仕事をした。冷凍庫の奥から雪見だいふくを発見したのがせめてもの慰め。火傷でただれた指でつまんで食べた。おいしかったです。

次に、iPhone の指紋認証が効かない。右手の親指を指紋登録してたんだけど、ホームボタンを押すと指が痛い。痛みに耐えて押しても、指紋が認識されない。いままでは iPhone X の顔認証をちょっと馬鹿にしていたけど、なるほど、こういうときは顔認証の方がいいんだな。ちょっと学習した。

ちなみに、キーボードは爪の先で打てばいいので、それほど困らない。ただし、前述の「10秒もすると指が燃えるように熱くなる」問題があるため、両手を使って一度に打てるのはせいぜい1行だ。そのため、いつもは一瞬で書きあがる分量の原稿に一時間かかった。脳内でしっかり文章をイメージしてバッファーにため、それを一気に指で入力しないとまったく書き進まない。思考の中断がこれほどまでに効率を妨げるとはねぇ。

なんとか仕事を終えた後は、ボウルに水を入れて床に置き、ベッドに体を横たえて、右腕を床へブラさげ、指をボウルに突っ込みながら、ぼーっと Netflix でアニメを観た。『甲鉄城のカバネリ』という作品だったけど、結構面白かった。ゾンビと侍と蒸気機関車が好きな人は気に入ると思う。肝心の最終話でうとうとしてしまって、どういう経緯でヒロインが助かったのかを完全に見逃してしまったが、登場人物の女の子たちがかわいかったからまったく気にならない。

気が付いたら、指の痛みもすっかりとれていた。水でふやけた指の皮と、ひとつがいの水膨れとを引き換えにして。