『六国史―日本書紀に始まる古代の「正史」』
執筆日時:
- 作者: 遠藤慶太
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/02/24
- メディア: 新書
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高校では世界史を選択したせいで、日本史をたいして知らないのを齢36を数えていまさら情けなく思っている今日このごろ。そんなわけで、今回は『六国史』の解説をした新書を手にとってみました。六国史とは、以下の6つの国史を指すのだそうな。
- 日本書紀:神代から持統天皇まで
- 続日本紀:文武天皇から桓武天皇まで
- 日本後紀:桓武天皇から淳和天皇まで(40巻のうち3/4が失われ10巻分のみ現存)
- 続日本後紀:仁明天皇の代
- 日本文徳天皇実録:文徳天皇の代
- 日本三代実録:清和天皇から光孝天皇まで
中国の歴史書だと「次の王朝が前の王朝の歴史を編纂する」という暗黙のルールがあるのだけど(ちなみに最後の王朝・清についての歴史書『清史』はまだ編纂中らしいな!)、日本の場合は万世一系(たぶん)なので区切りが難しいわな。こうやってみても一冊でやたら長い時代をカバーしていたり、天皇一代のことしか書いてなかったり、割とテキトーだなーというイメージを抱いてしまう。
それにしても『日本後紀』が失われてしまったというのは本当に惜しいことだと思う。西洋でもリウィウスの『ローマ史』なんかが欠損していてとても残念な感じだけど、断絶したローマとは異なり、曲がりなりにも連綿と続いてきた本朝で歴史書が失われているというのはちょっといただけないことだ。歴史に対する態度に欠けるものがあるのかもしれない。
一方で、歴史書を伝えていくということの難しさも感じる。物質としての書物を残すのはもちろん、解釈や校訂といった研究や、出版や教授といった普及活動を継続していくということまでも含めて。中国では史書の編纂・校訂・出版が国家的事業とされているそうだけど、日本では『六国史』の出版はもっぱら民間で行われているのだそうな。それがいいか悪いかはともかく、歴史事業の存続は民間の活力に依存するところも大きいのだなと感じる。
とりあえず、これはあくまでも入門なので、またもう少し骨のあるものにも触れていきたいなーと思った。