『ブラタモリ』松山編を観た感想 #ぼくがかんがえたさいきょうのまつやま

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NHK の番組『ブラタモリ』がとりあげられていたらしい。

なのに、第1回はオレ自身が日付を跨ぐまで『ブラタモリ』していた(「ゆるふわ.rb in 大洲 〜作ってみよう Slack bot〜」でお刺身食べてきました。 - だるろぐ)ため見逃し、今日の第2回も昼からずっと寝てて最初の部分を見逃した。

そもそも、自分には時間通りに TV の前に座って番組を待つという習慣がないし、録画機などという文明の利器(その割には大人の事情でたいそう不自由らしいが)もない。NHK の視聴料は真面目に払っているのに、たいへんもったいないことをしたと思う。さっさと Web で簡単にみられるようにしてほしい。

――とまぁ、そんなわけで第二回をちょろっとしか見ていないのだけど。

道後温泉に当時としては巨額の資金を投じ、観光資源に育て上げた先人の苦労に、たいへん感銘を受けた。道後温泉の終身優待券、わしもそのころに生きていたらほしかったなぁ。

しかし、その一方で今のエラい人たちの情けないことと言ったら。最近こんなニュースを耳にしたのだけど(リンク切れ)、正直、「そりゃ、松山も衰退しますわ」と思った。

松山市の観光名所、道後温泉本館が、来年、開かれるえひめ国体の閉会後、大規模な改修工事に入ることを受けて、松山市内の経済団体などが、松山市に対して、観光客の減少を食い止めるための新たな集客施設が必要だとして、 水族館 の建設を検討するよう要望しました。

http://www.nhk.or.jp/matsuyama-news/20160128/5365741.html

松山商工会議所や旅館・ホテルの組合などがこういうことを言っているそうだが……道後に水族館ができたとして、美ら海水族館や海遊館を差し置いて“道後水族館”に泊りがけで人がくるだろうか。せいぜい近郊の家族連れが、日帰りで来るだけに終わるのではないだろうか。

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移り住んだばかりの僕から見るに、観光都市としての松山の最大の弱点は“中途半端”なところだと思う。

というのも、松山は観光都市であると同時に――もしかしたら観光都市である前に――愛媛県の県庁所在地であり、四国最大の都市という政治・経済・生活の場でもある。生活の場としての街と、観光の場としての街。これらはときに矛盾する。

生活の場としての都市を優先すれば、観光資源は足かせとなる。たとえば、松山の中心街はクルマでの移動が面倒だ。伝統あるものをバッサリ破壊して(伊予鉄の市内線などバスで置き換え、道はクルマで占有するようにすればよい!)、サッパリと区画整理できれば、さぞかし流通と移動の面では改善されるのではないか。

一方、観光の場としての都市を優先すれば、生活の場としての都市は活動が制限される。たとえば、松山市には景観保護のため、高層ビルに高さ制限があるそうだ。そのためか、松山の中心街には高層ビルがない。これは観光が都市の生活と生産を抑制している例に挙げていいと思う。実際、松山は高松よりも人口が多いにもかかわらず、なんとなく田舎臭い。

ただ、生活の場としての街と、観光の場としての街を両立させることは不可能ではないと思う。

一つは、松山市の産業を“観光のみ”と割り切ってしまう。交通インフラは、いっそのこと、地表集電方式の路面電車(地面から給電することで架線を撤廃することができる)にし、クルマは一部の産業用をのぞき立ち入りを制限してしまう。新規の建物は和風の木造建築に限る(もし、日本の林業との間にポジティブなフィードバック関係が生まれれば万々歳なのだが)。しかし、防火設備はもちろん、あらゆる内装はナウな感じする。ジャパニーズモダンな街として世界的にアピールしたい。

もちろん、市民も観光資源の一部だ。女子高生の制服は、明治っぽい袴にしてしまいましょう。きっと変なアレンジをしてくると思うが、かわいければ OK。そうなれば、松山は新しい和装ファッションの発信地になるだろう。(男子生徒? 適当にゴキブリみたいな学ランでも着とけ)。おっさんも街を歩くときは着物でおしゃれをしろ。中年太りでも着物だと恰幅よく見えていいぞ! 

――とまぁ、ほとんど冗談だが、生活と観光を一致させてしまえば、矛盾は解消される。いわば弁証法論的解決だ。いっそのこと、県庁は今治にでもあげてしまえばいいだろう。

また、いっそのこと逆に生活の場としての街へシフトしてしまってもいいかもしれない。たとえば名古屋や福岡といった街は、観光資源というよりも、むしろ洗練された都市的な娯楽ゆえに人を集めている。そっち方面を目指すのも、まぁ、ありかもしれない。その場合は、とかく郊外に分散しがちなショッピングモールやアミューズメント施設をどのように市内に集中させるかというのが課題になるように思うけれど、ちょっと解決は思いつかない。

もう一つは、観光の場を厳密に定め、生活の場と分けてしまうことだろう。これはいわば共存的解決で、どこでもある程度はやっている伝統的な手法だ。あんまり面白みはないが現実的で、コツコツ進められるのがよいところではある。ただ、やるならばもう少し規制を強化し、街並みに一体性を持たせるといった工夫が必要になるような気がする。また、港や空港など、観光客の玄関口から観光資源への導線を整えるべきだ。鉄道でつながっていないのは論外だし、既存の鉄道(JR 予讃線)も高架・移設して、外から来た人が松山城を望めるようにするなどの仕掛けもほしいなぁ。

まぁ、どんな方法を選んでもいいんだけど、もうちょっと徹底すればいいのにね、と思う。個人的には、ちょっとレトロだけど街として死んでいないところが松山の気に入っているところなので、そこだけは殺さないようにしてほしいし、できることは協力したいなって感じる。あと、『ブラタモリ』の前編の方、録画してる人がいたら見せてクダサイ。

おわり。