coco 壱番屋事件と排出事業者責任

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かつては産業廃棄物をだして処理してもらう側だったのだけど、適切な業者を選択し、法的に認められたモノ以外を捨てず、引き取ってもらったあとは業者からマニフェスト(そういう書類がある)をもらい、指定された期間適切に保存すれば責任を果たしていると思っていたので、この発言はちょっと意味が分かんなかった。

  1. 事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。(法第11条)
  2. 特別管理産業廃棄物を生ずる事業場については、環境省令で定める資格を有する特別産業廃棄物管理責任者の設置(法第12条の2)
  3. 事業者が自ら処理する場合の規定(法第12条(産廃)、法第12条の2(特管))
    1. 処理基準の遵守
    2. 産業廃棄物が運搬されるまでの間、保管基準の遵守
    3. 事業外で産業廃棄物を保管する場合の届出
  4. 事業者が処理を委託する場合の規定(法第12条第5項)
    1. 委託基準の遵守
    2. 委託廃棄物が業の許可範囲に含まれる業者への委託
    3. 収集運搬業者、処分業者それぞれとの直接契約
    4. 書面による契約
    5. 委託契約書の保存(契約終了後5年間)
    6. 特別管理産業廃棄物の委託に際して、当該廃棄物に係る情報の文書での事前通知
  5. 処理を委託する場合は産業廃棄物管理票の交付の規定(法第12条の3)
    1. 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付および確認
    2. 電子マニフェストの利用または紙マニフェストの交付
    3. 廃棄物が最終処分されるまでの流れにおける適正処理の確認
    4. 紙マニフェストを利用した場合は、マニフェストの保存(5年間)およびマニフェスト交付状況に関する年次報告の実施
  6. 委託廃棄物の処理の状況に関する確認と、処理が適正に行われるために必要な措置の実施努力の規定(法第12条第7項)
  7. 多量排出事業者の規定(法第12条第9項(産廃)、法第12条の2第10項(特管))
    1. 産業廃棄物排出量1,000トン以上、もしくは特別管理産業廃棄物排出量50トン以上を排出する事業者(多量排出事業者)は処理計画およびその実施状況に関する報告を、所定の様式にて、都道府県知事等に提出
  8. 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外として、建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についての規定の適用については、当該元請業者を排出事業者とする。(法第21条の3)
排出事業者責任 | 学ぼう産廃 産廃知識 | 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター

原則として「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」ってのをまず知らなかったな。この前提が共有されていないと、話がかみ合わないと思った。委託した後も責任を持たなければならないんだね。疑問が一つ氷解した。

しかし、それにしても「委託廃棄物の処理の状況に関する確認と、処理が適正に行われるために必要な措置の実施努力」はかなり非現実的だと思う(しれっとこういうことを言うあたり、さすがお役人さまだなって感じ)。具体的には、

があるらしいのだけど(http://www.gunma-sanpai.jp/gp03/pdf/index_01.pdf)、いちいち全部自分の目で見るわけにはいかないので(だったら自分で処理するわな。ノウハウのない有象無象がみんなそれをやりだしたら、さぞかし混乱することだろう)、現実的には後者を選択することになる。しかし、ここでウソをつかれたらやっぱり意味がないので、優良産廃処理業者認定制度とやらが適切に運用されていることが前提となるのだけど……

通常の許可基準よりも厳しい基準をクリアした優良な産廃処理業者を、都道府県・政令市が審査して認定する制度です。

環境省_優良産廃処理業者認定制度

結局は都道府県・政令市の監督責任ということになるのではないだろうか。だいたい、“通常の許可基準”と“通常の許可基準よりも厳しい基準”の二つが並立する意味も分かんないしね。厳しいほうだけでいいじゃん?

おまけ

これもよくわからなかった。廃棄物処理の違反は刑事だろうし(警察がまず調べるのもこっちで当然だろう)、商法上の契約違反というのはまず民事で争われることじゃないのかなぁ。法律はあんまりよくわかんないけど。