『日本の神様と神社 神話と歴史の謎を解く』

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日本の神様と神社 神話と歴史の謎を解く (講談社+α文庫)

日本の神様と神社 神話と歴史の謎を解く (講談社+α文庫)

Kindle で購入。わりとペロッと読めるので、新幹線や飛行機に乗るときに買ってみてもいいかもしれない。

少し似たようなコンセプトの本として、前に『神社の古代史』を読んだけれど、「第一部 神社に秘められた古代史」の部分をよりストーリー立てて、少し掘り下げた感じ。とくに前半はスムーズに話がつながっていて読みやすく、神話の概略と神社の由縁が大まかに身について大変よろしいと思う。

ただ、やっぱり古代史はどうしても人によって解釈がマチマチで、ピンとこないところもある。本書で言えば「山陰地方という呼び方は(出雲王国ではなく)大和朝廷の目線で付けられた」なんて解説されているけれど、中国山地の北を陰、南を陽と呼ぶのは、単に中国から輸入した陰陽五行説によるのだと思う(水の北、山の南は陽。逆は陰)。「勝者によって歴史は書き換えられる」というのは、部分的真理ではあっても絶対ではない。確かにそういう視座があれば歴史をより深く知ることに役立つけれど、些細な文献の矛盾を針小棒大に扱ったり、神話を疑ってばかりというのもどうか。もっと素直に読んで楽しめばいいんじゃないかなぁ……本書はまだマシだけど、古代史本全般に言いたいかも。

などと思いながら、前書きを繰りなおしてみると。

ただし、私たちには一つ気をつけている約束があります。恵美嘉樹(著者)の解釈が唯一絶対のものではないということです。
読者の皆さんが「なるほど、そうだったんだ!」と納得するか、あるいは「それは違う」と反論するか。本書が皆さんの好奇心と発想を刺激できれば、これ以上の喜びはありません。

著者の手のひらの上で踊っているだけでした/(^o^)\