『カント入門』
執筆日時:
- 作者: 石川文康
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/05
- メディア: 新書
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@nakaji に教えてもらって買った。Kindle 版はなんと350円! これ、定価なの? 期間限定価格なの? とりあえず安いし、買っておいた方がいいと思うよ。
この本がいいのは、カントの本ではなく、カントが考えた過程を解説しているところ。
カントの本が面白くないのは、“論文”スタイルだから。言葉の定義から初めて、小さな証明を積み重ねていく。最後まで読まないとなにが言いたくてそんなチマチマしたことしているのかさっぱりわかんないから、途中で挫折してしまう。かくいう自分も『純粋理性批判』の途中、カテゴリー論の次ぐらいで挫折したクチだけれど、とにかくしょうもない。「いつゴールにたどり着くんだよぅ……」って感じになってしまう。剣道で言えば、朝から晩まで延々素振りばっかりやらされて試合を一切させてもらえず、やめたいなぁ、って思う感覚に似てるかも。
でも、本書ではカントが“物語”として再編集されている。
カントがルソーを読んでビックリし、「人を尊敬することを知った」。「独断のまどろみ」にあったカントが、ヒュームに叩き起こされた。哲学には4つの解けない謎(アンチノミー、二律背反)があることに気づき、それを解きたいと思った(で、解いちゃった)。
そういう結論から出発して、議論を掘り下げていく。なぜ4つの『批判』を書かなくちゃいけなかったのか、なぜこの順番なのか、どうつながっているのかっていうのがちゃんと“物語”として繋がってるからわかりやすい。古典がとっつきにくく感じる原因の一つに、その人の問題意識が分からない、共有できない、共感できないというのがあると思うが、まずそれをクリアしてから解説に入るスタイルがとても気に入った。
個人的には『判断力批判』の位置付けが目新しかったのと、現象学にちょっと興味がもてたのがよかったかも。あと“法廷モデル”がわかり、いろいろ腑に落ちた感があるのが収穫。図が割とついてるけど、これは自分には合わず、むしろ理解を妨げるところがあったので、見ない振りした。すんません。
ちなみに、個人的にはカントの著作ではこれが一番好き。
永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫)
- 作者: カント,中山元
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 文庫
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