『帝国海軍と艦内神社――神々にまもられた日本の海』

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帝国海軍と艦内神社――神々にまもられた日本の海

帝国海軍と艦内神社――神々にまもられた日本の海

艦内神社(かんないじんじゃ)とは、軍艦や艦艇などの内に設けられる小規模の神社のことである。
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艦内神社は、神社と呼ばれてはいるものの、陸の神社と比べ規模は小さく、潜水艦や駆逐艦などの小型艦艇になると、大きい神棚程度のものであるとされている。

大体は艦長室か機関室、食堂付近などの人の集まる所に設置される。日本海軍時代には天皇の御真影・勅諭とともに安置された。

日本国では古くから海上交通の安全を祈願するため、船霊を祭るという信仰が伝えられてきており、艦内神社もその延長線上に存在する。

艦内神社 - Wikipedia

艦内神社について書かれた、たぶん日本で唯一の書物。著者は僕と同い年のよう。もしかしたらすれ違ったりしたことがあったかも。保守的というか、右寄りというか、そういう政治的主張があちこちに埋め込まれているのが鼻につくが*1、それさえ気にしなければ、よく調査され、まとめられた良著だと思う。

たとえば、軽巡洋艦「那珂」の艦内神社は那珂川の河口にある「大洗磯前神社」を分霊したもので、その縁で戦没者を慰霊する忠魂碑が設けられている(艦これ:巡洋艦・那珂ちゃんのお墓詣りしてきた - だるろぐ*2。そんな感じで、軍艦には、たいていその名前に由来する神社から分霊してもらったミニ神社があっる。なかには武運長久を願って、乗組員や、ときには艦長みずからが分霊元の神社を参拝し、模型や写真、なかには砲弾などの物騒なものを奉納されていたのだそうな。

――以下、個人的に興味深かったエピソードを抜粋。

最後に。

護衛艦の艦内神社が“政教分離”にそぐわないという意見に関しては、そういわれても仕方ない部分はある。国家神道が太平洋戦争で一定の役割を果たしたのも事実だと思うし、どうも著者の政治的主張(の右側部分)に接すると逆に、神道と軍事を近づけるのはどうも危ういと感じさせられる。

けれど、艦内神社が海上交通の安全を祈願する船霊信仰に由来すると考えれば、その歴史は現行の憲法なんかよりもずっと古い。また、“政教分離”は政治が特定の宗教のコントロール下に入ることを戒めているのであって、船乗りたちの信仰を抑圧するものではないはず。私費で行われ、伝統的な習慣の範囲内で、強制力なしに行われるのであれば、外野がとやかく言うことではないようにも思う。

ちなみに、自分が船乗りだったら、そういうことにおカネを出す。嵐にあってから神様に祈るのでは、あまりにも虫がよすぎるからね。

*1:これは個人的な意見だが、こういう書物に政治的主張を盛り込むべきではないし、仮に盛り込むとしても前書きや後書きに問題提起として書くにとどめるべきだろう

*2:この忠魂碑の建立には神社本庁の許可が必要だったのだそうだ。そういう苦労を知らずに詣でてた