『空母雷撃隊―艦攻搭乗員の太平洋海空戦記』
執筆日時:
- 作者: 金沢秀利
- 出版社/メーカー: 光人社
- 発売日: 2009/06/25
- メディア: 文庫
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“艦これ”やってて最初わかんなかったのは、艦攻と艦爆の違いだったなー。頑張って図にしてみるとこんな感じかな。
ポイントは、当時の艦載機のスペックだと
- 魚雷や重量のある強力な爆弾を積む
- 命中率の高い急降下爆撃を行う(急降下に耐えうる機体強度)
という2つのミッションを同時にこなせる機体は作れなかったということ。なので、前者を艦上攻撃機、後者を艦上爆撃機に分けてやらせたわけだね。
- 艦上攻撃機
- 強力な魚雷・重爆弾が搭載できる大型機。
- 三座式(操縦士、雷撃手、電信員)。偵察や航法(現在位置の測定、進行方向の決定)も
- 艦上爆撃機に比べ低速。
- 艦上爆撃機
- 急降下爆撃により精度の高い攻撃が可能。
- 高い機体強度。大きさに限界。
- 二座(複座)式(急降下の操縦に専念する操縦士、照準・偵察・航法などを担当する爆撃手)
やっぱり花形は操縦士だけど、補助する人も仕事が多くて大変。戦果はむしろ雷撃手や爆撃手にかかっているし、通信や航法だって大事。単座の艦上戦闘機だと航法担当がいないから、下手すりゃ空母に帰ってこれなくなる。
艦上爆撃機は魚雷も爆弾も積めるけれど、戦艦クラスになると上からの攻撃への防御(水平防御)は割りと強く(※ただし、おばあさんたちや不幸型戦艦を除くデース)、しかも水平爆撃はあてるのが難しいので、魚雷の方が効果的という見方が支配的だったみたい。ただし、魚雷は積み替えるのに時間がかかる(参照:ミッドウェー海戦 - Wikipedia)。
現在では、
近接信管の出現などによる対空砲撃能力の向上は、急降下爆撃を極めて困難にした。そのため戦後のジェット機時代になるとともに、急降下爆撃機は消滅した(同時に雷撃機も消滅している)
とのことで、艦上攻撃機しか存在せず、その艦上攻撃機もマルチロール化(多目的化)によって艦上戦闘機に吸収されつつあるみたい。
著者は最初、正規空母「飛龍」(ミッドウェー海戦で最後まで戦った空母やな)の雷撃隊に所属し、電信員(通信士兼後部機銃員)をやっていたのだそうな。いわゆる「友永隊」やな。
「飛龍」が沈んだ後は、出雲丸さんにちょっと乗って、
最後はヒャッハーさんに乗ってたらしい。本書は南太平洋開戦で終わっている。
空中格闘ができない艦攻は、攻撃されたら落とされないことを祈るだけ。しかも電信員ともなれば操縦だって他人任せで、ロクに旋回角度もない機銃で応戦するのが関の山ともなれば、なかなかもどかしい、しんどい役回りだったろうなと思う。