『空母雷撃隊―艦攻搭乗員の太平洋海空戦記』

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空母雷撃隊―艦攻搭乗員の太平洋海空戦記 (光人社NF文庫)

空母雷撃隊―艦攻搭乗員の太平洋海空戦記 (光人社NF文庫)

“艦これ”やってて最初わかんなかったのは、艦攻と艦爆の違いだったなー。頑張って図にしてみるとこんな感じかな。

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ポイントは、当時の艦載機のスペックだと

という2つのミッションを同時にこなせる機体は作れなかったということ。なので、前者を艦上攻撃機、後者を艦上爆撃機に分けてやらせたわけだね。

やっぱり花形は操縦士だけど、補助する人も仕事が多くて大変。戦果はむしろ雷撃手や爆撃手にかかっているし、通信や航法だって大事。単座の艦上戦闘機だと航法担当がいないから、下手すりゃ空母に帰ってこれなくなる。

艦上爆撃機は魚雷も爆弾も積めるけれど、戦艦クラスになると上からの攻撃への防御(水平防御)は割りと強く(※ただし、おばあさんたちや不幸型戦艦を除くデース)、しかも水平爆撃はあてるのが難しいので、魚雷の方が効果的という見方が支配的だったみたい。ただし、魚雷は積み替えるのに時間がかかる(参照:ミッドウェー海戦 - Wikipedia)。

現在では、

近接信管の出現などによる対空砲撃能力の向上は、急降下爆撃を極めて困難にした。そのため戦後のジェット機時代になるとともに、急降下爆撃機は消滅した(同時に雷撃機も消滅している)

艦上爆撃機 - Wikipedia

とのことで、艦上攻撃機しか存在せず、その艦上攻撃機もマルチロール化(多目的化)によって艦上戦闘機に吸収されつつあるみたい。

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著者は最初、正規空母「飛龍」(ミッドウェー海戦で最後まで戦った空母やな)の雷撃隊に所属し、電信員(通信士兼後部機銃員)をやっていたのだそうな。いわゆる「友永隊」やな。

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「飛龍」が沈んだ後は、出雲丸さんにちょっと乗って、

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最後はヒャッハーさんに乗ってたらしい。本書は南太平洋開戦で終わっている。

空中格闘ができない艦攻は、攻撃されたら落とされないことを祈るだけ。しかも電信員ともなれば操縦だって他人任せで、ロクに旋回角度もない機銃で応戦するのが関の山ともなれば、なかなかもどかしい、しんどい役回りだったろうなと思う。