天雨粟,鬼夜哭。
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昔者蒼頡作書,而天雨粟,鬼夜哭。
かつて蒼頡(そうけつ)が書(文字)を作ったが、そのとき天は粟を雨のように降らせ、鬼は夜に泣いた。
文字は生活を豊かにしたが、鬼=神秘的なものへの畏れ、祖先を祭る真心は生活から追いやられてしまった。「天雨粟」は、文字を知ったことで偽りと私利追求に走るようになった民を天が憐れんで粟を恵んだという解釈もあるみたいだけど、個人的にはストレートに「文字ができて豊かになった」という意味のような気がする。
蒼頡(そうけつ、 倉頡とも。拼音: Cāng Jié)は、漢字を発明したとされる古代中国の伝説上の人物。
伝説によれば、蒼頡は黄帝に仕える史官であった。それまで中国の人々は、インカ帝国のキープのような縄の結び目を記録に用いていたが、蒼頡は鳥や獣の足跡の形によって元の動物を推測できることから、文字によって概念を表現できることに気付いたという。
古代中国で縄を結んで字や数字を表していたことは、第八十章 小國寡民 - だるろぐ にも見える。
ちなみに、中国語の入力システム 倉頡輸入法 - Wikipedia は蒼頡からきているのだそうな。
中国で鬼(グウェイ、ピンイン : guǐ)という場合、死霊、死者の霊魂のことを指す。日本で言う「亡霊」の方がニュアンスとして近い(中国語版ウィキペディアの記事『鬼』は、日本語版『亡霊』にリンクされている)。中国では、直接鬼と呼ぶのはタブーであることから、婉曲して好兄弟ともいう。また日本にもこの思想が入っており、人が死ぬことを指して「鬼籍に入る」などと言う言い方がある他、元来の意味合いと混交したイメージでも捉えられている。