『戦艦武蔵』

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戦艦武蔵 (新潮文庫)

戦艦武蔵 (新潮文庫)

はじめて Kindle で買ってみた。読書に利用したハードは当初 Nexus 7(2012)、のちに iPhone 5s。使ってみて思ったのだけど、タブレットは電車で広げるにはやや恥ずかしい。しかも Nexus 7 は割と重くて、手首がつかれた。しかも、バッテリーがわりかし早く尽きる(これは Nexus 7 がもう古いからかもしれない)。iPhone 5s は画面が狭く、頻繁にページめくりをしなければならないのが辛い。手持ちのデバイスでは iPad mini が一番しっくりきそうだ。けれど、ニューズウィークなんかの雑誌を読むとなるとまた狭いんだよね、これ。フルサイズの iPad がほしくなる。

さてさて、そんなことより本の内容だけど――普通に面白かった。

昭和十二年の夏、九州の漁業界に起こった小さな異変からこの話は始まる。漁具に使う棕櫚が市場から払底している。それも当初は有明海沿岸のごく一部での出来事だと思われていたが、次第に九州全土はおろか、全国規模で買い占めが行われていることが明らかになる。――いったい何が起こっているのか?

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ネタバレしちゃうと、武蔵ちゃんの更衣室のカーテンを作るために海軍と三菱が買い漁っているのでした! マジで漁民涙目だな。この棕櫚のカーテンの大活躍により、武蔵ちゃんは列強に存在を悟られず秘密裏に建造が完了するのだが、その道中の苦難は僕の想像を遥かに超えるものだった。

話の2/3以上はこの建造譚に割かれていて、残りの一部が南海で手持無沙汰にぶらぶらする話。すでに日本はミッドウェーで敗北を喫しており、武蔵は連合艦隊旗艦を大和から引き継ぐも出番がなかった。途中、山本長官を喪ったり、輸送中に台風にあってお荷物落としちゃうエピソードなどを挟み、あとはレイテ沖で米海軍の集中狙いに遭って沈む。

大和型戦艦といえばやっぱり大和で、武蔵は「レイテであっさり沈んだのでしょ?」っていうイメージが自分にはあったけれど、まったくそうではなかった。日本の傑作重巡である愛宕や高雄、摩耶などがあっさり一行で離脱する中、100ページ以上(iPad mini の場合)耐えたのだからスゴい。

ただ、乗組員の悲惨な結末にはだいぶ心が痛んだ。

まぁ、こんな感じ。武蔵さんが使う前に更衣室を使っていたのが利根ちゃんだったり、ヒャッハーさんの改装前がわりかし武蔵さんに絡んでいたりという無駄知識が得られたことも個人的には収穫だった。