『饗宴』

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饗宴 (光文社古典新訳文庫)

饗宴 (光文社古典新訳文庫)

相変わらずこのシリーズは訳文が読みやすくていいな。解説も充実している。とくにタブー視されがちな当時の「少年愛」については興味深かった。男女を問わず、歳食った人間が素直でひたむきな若者を見れば、「よーし、おじさんがいろいろ教えちゃうもんね!」っていう気になると思うのだけど、「少年愛」ってそんな類の感情の延長にあったんだね。まぁ、それが自制を失い、悪い方向に及べば、「おい、ちょっとお前待てよ」と思われることも少なくなかったろうと思われる。当時からこの慣習を胡散臭く思う人が多かったのも頷ける(ソクラテスが刑死したのは「少年を惑わした」罪ゆえだった!)。ましてや、アルキビアデスのようなものもいるとすれば。

内容もまた、興味深い。とくにアリストファネスとアガトンのエロス賛美は美しい。そしてそのアガトンの賛美を論理でぶち壊すソクラテスさん、パネェ。