推論と正義
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正義の理論の必要性は、(エドマンド・)バークが述べたように「話しにくい」ことに推論を行うときの原理と関わっている。
ときには、正義は推論の問題ではなく、正義を適切に感じ取り、正義に対する正しい直感力を持つことだと主張される。このように考えたくなるのもわからないわけではない。たとえば、激しい飢饉を知ったとき、正義と不正義の推論を精巧に行うよりも、抗議し、大声を上げるほうが自然に見える。それにもかかわらず、ある災難が不正義であるのは、それを予防することができた時であり、特に予防的行為を行う立場にいた人がそうしなかった場合である。
何らかの推論は、ある災難を知ることから不正義の判断に進むときに避ける事はできない。さらに、不正義は観察可能な災難の評価以上に複雑で微妙なものである。全く異なる結論を示唆する様々な方向の議論が可能であり、正義の判断は全く単純なものではない。
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正義の理論の要件は、まさに正義と不正義の判断において理性を働かせることである。
時宜を得ないと、心に染みてこない言葉ってあるよね……と言い訳しつつ、そろそろ読んでみようかと思う。サンデル教授を読むのもいいけど、ゆっくりでもこういう本を読むほうがよほどためになるだろう。
- 作者: アマルティアセン,池本幸生
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