プルタルコス『英雄伝 3』
執筆日時:
- 作者: プルタルコス,柳沼重剛
- 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
- 発売日: 2011/04/15
- メディア: 単行本
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年末に買った3巻を、やっと読了した。全6巻の予定だそうなので、これで半分といったところ。「アレクサンドロスとカエサル」なんかの大物も残っているので楽しみだが、4巻以降は“刊行未定”*1。まぁ楽しみにしながら、のんびり待つことにしよう。次はリヴィウスあたりを読みたいが、ちょっとお高いのよね……まぁ、いつかあれは読まなきゃいけないので、買うけどさ*2。『モラリア』にも興味がわいたけど、とりあえずは積み読を処理しながら考えるとするか。
この巻で一番好きな人物は、マルクス・カトー。興味深いのがピュロス(とニキアスのコンビ)(西洋版 「隴を得て蜀を望む」 - だるろぐ)。なんだかんだいって憎めないのがマリウスとスラ。伝記としてはピュロスとスラが面白かったかもしれない。
「スラの心の中に住んでいる狐とライオンを相手に戦ったのだが、その狐のほうにしてやられた」
というカルボの言葉は、マキャベリの『君主論』にも関係があるのだろうか。
あと、読んでて一番吹いたのはスラの章のこの一節。。
(同盟市戦争のとき、)ラウェルナのあたりに大きな地割れが生じて、そこから盛んに火が噴出し、炎が天を焦がした。占い師はそれを読んで「顔だちが並はずれたすぐれた人間が、ローマをこの混乱から解放するだろう」と言った。
そこでスラは言った。「俺のことだな。」
顔だちが並はずれてるとは俺の金髪のことだし、勇気の点でも恥ずかしくないし、これほど見事で立派な手柄を挙げたのは優れているからである、と。スラの容貌については、伝記の冒頭を参照するとよい。吹いたお茶返せ。
そんなこんな。相変わらずギリシャ人に対して配点が少ないのは、やはりちょっとなじみが薄いからだろう。プルタルコス本人が嫌な顔をしそうだ。
そのプルタルコスだが、カイロネイア出身だったんだね(カイロネイアの戦い - Wikipedia などで有名)。スラが副官のガビニウスを遣わしてアルケラオスからカイロネイアを救ったとき、「わが街」と呼んでいたのが印象的だった。神託に関する自分の考えを述べるときなど、たまに説教くさい“生の声”が聞こえてくるのが本書の魅力の一つだけど、それとはまた違った親近感を感じた。
あと、P.338 にスパルタの貨幣観に関する記述があったので、個人的なメモとしておく。