Surface Laptop を買ったので、Windows 10 S 縛りで一週間頑張った

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お盆休みに Consumer Reports 誌にダメだしされて話題の Surface Laptop を買いました。ほんとは LTE 版の Surface Pro(2017)を待っていたのですが、だんだん待つのが面倒くさくなってきたのと、Windows 10 S の使い勝手を体験してみたかった。まぁ、だいたいは想像がつくのだけど、やっぱり実際に使ってみないとわからんところはあると思ったので。

開封 & 軽い感想

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毎度思うのですが、Surface は開けるのが楽しいですね。開けると「ぉー!」って感じ。まぁ、Mac のマネといえばマネなのかもしれませんが。それにしても、天板の質感がいい……。

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買ったのは Core i5/SSD 256GB モデルです。Surface Pro 3 で懲りてからは、多少スペックダウンしても静かなファンレスモデルが好きです。

Core m3/SSD 256GB の MacBook も持っているのですが、一回り大きいかな。お値段は大体一緒なのに、CPU はワンランク上なので、リーズナブルといえばリーズナブルです。ただ、Windows は探せばもっとコスパの良いラップトップがうじゃうじゃしているので、これを選ぶ人は Surface というブランドに納得できる人になるのかな。

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買うまでは ( ´_ゝ`)フーン としか思わなかったアルカンタラですが、これは意外に気に入りました。パームレストに手を置くのが楽しいラップトップって、生まれて初めてかもしれませんね。パームをレストしてる感じが半端ない。夏は不快な熱を遮断してサラサラ、冬はヒヤヒヤから手首を優しく守ってくれそう。撥水効果もあるらしいですけど、キーボードにコーヒーをこぼしてみる気にはならなかったので試していない(

キーボードの配列は素直で打ちやすい。Apple Wireless Keyboard と同じサイズなんだけど、タイプミスが圧倒的に少ないです。ただし、これは個人の慣れに帰する部分も大きいかも。

タッチパッドは大きく、Surface Pro の Type Cover なんかよりは全然使いやすい。でも、MacBook に比べると劣るかな? ただ、Surface Laptop はタッチも使えるのがデカい。「タッチなんかつかなないよー」っていう人もいるけど、まぁ、ポインターを操作するのが趣味っていう人でもなければ、タッチパネルの方が直感的&直接的で早い。僕は MacBook を Bootcamp で使ってるのですが、よく間違ってディスプレイを突いてしまいます。

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一方、ペンは 2-in-1 デバイス(タブレットにもラップトップにもなるやつ)の方がやっぱり便利。左手で支えながら書かなきゃなので、ちょっとめんどいですね……。それにしても Surface シリーズってホント一長一短。

  • Surface Laptop:クラムシェルの使いやすさ。構造が保守的・単純で信頼性がありそうだけど、ペンは使いにくい
  • Surface Pro:ペンが使いやすい。立てるのにキックスタンドが必要で、奥行きがないところやひざの上では使いにくい。キーボード分離機構はユニークだけど、トラブルの原因にも。タッチパッドも使いにくい(とくに仮想デスクトップ切り替えなんかで使う多本指ジェスチャーがきつい)
  • Surface Book:Pro と Laptop のいいとこどりで最強。ベース部分に GPU を仕込んでるモデルはパフォーマンスも高い。でも、お値段も高い高い。機構の複雑さも不安要素。可搬性も一番低い。

こうやって並べてみると、Surface Laptop は「信頼性が高く、保守的な Surface シリーズ」という位置づけに見えてきます。実際に信頼性が高いかどうかは別にして……。

Windows 10 S 縛りは厳しい

Surface Laptop に搭載されている OS は Windows 10 S というロックダウンモデルです。ストアから入手できるアプリしか使えないけれど、「お行儀の悪い」アプリが入り込む余地がないので、システムパフォーマンスの低下をあまり心配しないでいいし、セキュリティも比較的高いというものです。

こうした Surface は新しい――かというと、そうでもありません。

たとえば、Surface RT や Surface 2 は CPU が Arm だったので、ストアから入手したアプリしか使えませんでした。ウチでは艦これ端末として活躍し、退役後は親の PC として役立ってくれました(競艇の舟券を買う&中継するサイトが Flash だったので、iPad ではダメだったんですよねー)。どうやら変なサイトを見たりもしているみたいですが、変なアプリをもらってこないので、こっちもサポートの必要がなくて楽ちんでした。

安心とパフォーマンスは大事!

とはいえ、Flash もそろそろ終わりだし、そろそろストアのアプリだけで楽しめるようにならないと厳しいのも事実。昔と比べればずいぶんラインナップが増えてマシにはなったのですが――

  • 秀丸よりも EmEditor 使いたい(死亡
  • 取引先と Dropbox でファイルを共有している → シェル統合クライアントない(死亡
  • 退役後はおかんに使わせたらちょうどいいかなー → 弥生会計使えない(死亡

みたいな辛みは依然大きい……。この辺りも Desktop Bridge で改善の兆しはありますけどね。一昔前には絶望的だったユーティリティー系もずいぶん増えてきましたし。

www.microsoft.com

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ウインドウのサイズを思い通りに変える「Sizer」みたいな便利ツールや、高機能なデスクトップキャプチャーなんかもストアアプリなんかのストアアプリ化にも期待しています。

とくに Kindle あたりは早くきてほしい……「教育目的」を謳ってるのに本が読めないって、なんのギャグですか?(クラウドリーダーで何とかなるかもしれないけど、そういうめんどくさいのはナシで) 紀伊国屋 Kinoppy はストアアプリを出してくれているけれど、iOS/Android 版に比べると、中の人には申し訳ないけど、クオリティが足りないし……。

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あと、注意しなければならないのは、cmd や PowerShell がないことですね。「Visual Studio Code」がストアから手に入るようになればちょっとした開発も楽しめるかなって思っていたのですが、こいつらがいないということは、せいぜい HTML/CSS をちょろちょろ書くぐらいにしか使えないな。

貧弱なストアアプリを強力な CPU でぶん回す楽しみ……Windows 10 S ならではの贅沢だな(吐血

でも、一番つらいのはブラウザーが「Microsoft Edge」しか使えないことかもしれない。

「Microsoft Edge」がすごくダメな子かというとそんなこともないのだけど、世界には明らかに「Microsoft Edge」よりも優れた子がいますからね。わざわざ「Microsoft Edge」を選ばなきゃいけないのがつらい。

拡張機能の少なさがつらい。
Bing 検索なのがつらい。
コルタナさんに聞かなきゃいけないのがつらい。
「はてなブログ」でクリップボードから画像をコピペできないみたいな細かいところがつらい。
[×]ボタンを押してもタブを閉じられなくなったり、基本的な安定性の点でまだまだ改善の余地があるのがつらい。
Insider Preview ではガンガン機能追加されていてもう少しマシなのに、年に2回しか一般ユーザーにプッシュされないのがつらい。

実際に使うまではアプリの少なさが Windows 10 S のネックだろうと予測していたのですが、一番つらかったのは「Microsoft Edge」さんとお付き合いをしなきゃいけないことでした。ただ、「Google Chrome」や「Mozilla Firefox」を使ったことがないみたいなユーザーにはあまり関係のないことなのかもしれない。

「Microsoft Edge」を呪うあまりちょっと脱線しちゃったけど、結論を簡単にまとめるなら、Windows 10 S は「コンセプトは悪くないけど、Microsoft がストア(と Microsoft Edge!!)にもっと継続的に力を入れなかったら、このまま数年でフェードアウトするのが関の山」って感じですかね。

発表当初は Windows 10 S の存在が既存アプリのストア化を多少なりとも推し進めるのではないかという観測もありました。確かにメジャーアプリが続々ストアアプリ化されてるのは事実だし、Desktop Bridge は状況を改善するかもしれない。けれど、それは「Microsoft が手助けしてくれるからやってみた(メジャーアプリ」だったり、でなければ「Desktop Bridge がどんなものか試してみたい」という純粋な興味からであって、「Windows 10 S がでるからストア化しよう」なんていうアプリはゼロに等しい。Windows 8 や Windows 10 のリリース当初にも Microsoft のバックアップでちょっと市場が活気づいたことはあったけど、結局、継続を怠たり(というか予算出なかったんだろうな)、イマイチ開発者を引き付けることができませんでした(やったからってうまくいったかといえば……というのはあるけどw)。その二の舞は踏んでほしくないなぁ、と思います(放電したまま放置の NuAns NEO を頭に載せながら書いてる)。

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まぁ、いろいろ文句は書いたけど、年内なら Windows 10 Pro にアップグレードできるのでコスパ的に文句をつける部分はないはず。Home じゃなくて Pro だぜ。Windows 10 S だから Surface Laptop を買わないみたいなことを思ってる人がいるなら、下らねえこと考えてる暇あったら今すぐ買え! って思います。

おまけ

自分はライセンスだけでも確保しておこうかなと思い、一旦 Windows 10 Pro にして、そこへ Windows 10 S のインストーラーを当てたのですが*1、おかげで(?)「日本語入力がオンのときは[@]キーで“@”が入力できるけど、オフだと[Shift]+[2]キーじゃないと入力できない」*2という謎エラー(英語配列がらみかな)が直ってよかったです。

*1:効果があるのかどうかは知らないけど

*2:エディオンの店員さんが買う前に説明してくれました。ありがとう、Surface Laptop を買うときはエディオン松山店で買ってあげてください!