10月17日:なにも悪いことしてないのに 12,000 円を失って泣いてたら、居酒屋で慰めてくれた

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水曜日、あんまり覚えてないけどたぶんめっちゃ晴れ。

この日は、父ちゃんが松山を離れて海外へ長期出張に旅立つというので、空港まで見送ってやろうかと、無職の仕事を早めに切り上げた。午後3時半、タクシーを呼んで空港へ向かう。

空港までの道は割かし空いていて、タクシー代は 2,000円で済んだ。財布に金がないというので、父に代わり、自分が支払って領収書をもらう。父がスーツケースを引いて ANA のカウンターで手続きを済ませる間、出発までの間に何を食べようか、などと考えながらしばしぼーっとしていたのだが、なぜか父がスーツケースを引いたまま戻ってくる。

「財布をいれたカバンを家に忘れた」

財布だけなら当座のカネだけ貸してそのまま出立させてもよかったのだが、ほかにもチケットだのなんだのが入っていたらしく、そうもいかない。仕方なく、またタクシーを捕まえて家まで戻る羽目になった。今度は少し時間を食い、タクシー代が 2,500 円かかった。また空港に行って帰ってくるのはさすがに馬鹿らしく、自分は見送りを断念したのだが、父はまたタクシーで空港へ戻らねばならない。さっきの 2,500 円に上増しだから、最終的にはおそらく 5,000 円近くになるのだろう。あいにく財布には千円札が3枚しかない。僕は泣きながら1万円を差し出し、父の乗ったタクシーを空港へ追い払った。

なにもわるいことはしてないのに、12,000 円も消えた。悲しみに打ちひしがれた僕は、何をする気も起きず、しばし自室でぼーっとしてた。ほんとは空港の帰りに本屋によって、それをツマミに居酒屋で独り飲もうかなどと考えていたが、そんな気はとうに失せてしまっていた。

すると R 君が Slack で「街に出てくる気はないか」と言う。街での用事のついでに、僕を慰めてくれるらしい。家から出るのは面倒くさいという気分がないといえばウソにはなるが、気持ちはありがたく、ヘッドフォンと新書と財布と家のカギだけを小さなカバンに詰めて、バスに飛び乗った。


バスは堀端を通って市役所の脇を抜け、市駅へ向かう。待ち合わせまでにはまだ時間があるので、終点の一つ手前、千舟町のバス停で降りて、ジュンク堂へ寄る。振り返ると松山城の天守閣が望めて、自分はこの辺りが割と好きだ。

本屋では分厚い本3冊と、文庫本1冊を買った。

負債論 貨幣と暴力の5000年

負債論 貨幣と暴力の5000年

イスラム帝国夜話(上)

イスラム帝国夜話(上)

イスラム帝国夜話(下)

イスラム帝国夜話(下)

リヴァイアサン2 (光文社古典新訳文庫)

リヴァイアサン2 (光文社古典新訳文庫)

お会計は4万円。値段を見ずにカウンターで生産をしてしまったのだけど『タヌーヒー』(上下巻)が割と高かったみたい。もう今月は本を買わない(買えない)。


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6時前、R 君と U さんと落ち合い、少し歩いて U さん行きつけの呑み屋に入る。ハギのお刺身があったので、ポンズにキモをいっぱいぶち込んで食べた……満足。何の話をしたのかはあまり思い出せないけれど、割と楽しく過ごせた。楽しかったので、ついここのお会計は全部自分がもってしまう。

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U さんとはそこでお別れした。明日も無職の仕事があるので早めに切り上げようとは心掛けていたのだけど、ちょっと飲み足りなかったので R 君を誘って2次会に向かう。今度は R 君が奢ってくれるというので、出汁茶漬け屋さんに入った。前々から気になっていたのだけど、ちょっと高そうで気が引けていたが、他人の財布なのだから、なに、構うことはない。

店はコの字型のカウンター形式になっていて、真ん中で板前さんがキビキビと動いていた。出汁をたたえた小さめの鍋がいくつもホットプレートの上に載っていて、いい香りがするような気がしないでもない(← 酔っぱらって嗅覚はすでにない)。本当は出汁茶漬け屋さんなのだけど、単品のメニューもあったので、まずはといくつか頼んでみると、どれも大変美味しい。これは期待が持てそうだ。

出汁茶漬けの種類は、1,000円ぐらいのモノから伊勢エビ 5,000 円までさまざま。一瞬だけ「伊勢エビを頼んでやろうか」などと企んでいたのだけど、イカスミの出汁茶漬けを幸せそうに食べてる R 君を見ると、それも酷な気がする。そんなわけで、焼き白子を頼んだら――品切れでした。まぁ、悪いこと考える子には、こういう罰があるんだな。でも、代わりに頼んだハモも美味しく……ってか、むしろこっちでよかったか? 大変幸せな感じでした。

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P.S.