『ナポレオン ―獅子の時代』
執筆日時:
- 作者: 長谷川哲也
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2003/10/24
- メディア: コミック
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マンガを大人買いしたのは久しぶりかも。1巻目だけ試しで読むつもりが、15巻全部買ってた。こういうおっさん、少なくないと思うから、ニッチな漫画は積極的に“1巻無料”とかやればいいと思うよ。まぁ、巻数の少ないマンガだと厳しいかもだけど。1話無料だけっていうパターンは割とあるが、あれ、導入の説明くさいところだけで終わっちゃって、逆に「まぁ、買うまでもないか」って思っちゃうんだよね。1巻まるごと無料だと、どこかにはクライマックスがあるわけで、そこでハマると「次が気になる!」ってなるんだけど。
――まぁ、それはそれとして。
本書の魅力は、なんといってもキャラクターのインパクトだよなー。たとえば、みんな大好きロベスピエール。
童貞って怖いよね、何するかわかんないところあるもんね。本作のロベスピエールには「私はそれぞれの個人を愛していない、愛しているのは共和国と革命だけだ」みたいなセリフもあるんだけど、ルソーの狂気的な部分を宿した革命家の本質を、ズバリ表現しているようにも感じられる。いいね、いいね。
ナポレオンを支えたフランス元帥連中も個性豊かでよい(なんか『魁! 男塾』とか『花の慶次』とか、そういうあっち系やな、と思ってたけど、著者は原哲夫のアシスタントをやってた人らしい。なるほど、道理で)。どいつもこいつもアブラぎっとぎとで、平和な時代なら絶対近づきたくないタイプの人間だ。
でも、ぐんぐん引き寄せられる。スイッチが入っちゃった状況下でのカリスマっていうのは、こういうもんなんだろうか。
欠点をあげるとすれば、割と展開が早すぎるところ。とくにフランス革命期の政治家については描写が少なく、キャラクターには迫力があるのだけれど、キチンと描き切れてはいないと思う。ロベスピエール、ダントン、マラ、ミラボー、ロラン夫人……誰か一人でも知らなければ、フランス革命の概説書を読んでおくとよいと思う。時系列の組換えによる演出もあるので、まったくの世界史音痴だとキャラクターの迫力だけ楽しんで終わることになりそう。
個人的にはそのほかにも「ここにもうちょっとフォーカス当ててほしいなー」とか不満がなくはないのだけど、めっちゃ面白かったのでお勧め。続編の「覇道進撃」編もでているので買っちゃいたいのだけど、さすがに万レベルで大人買いできるほどお金持ちじゃなかったので、またの機会にしておく。