WebMatrix 3: Sinatra on ASP.NET 「Nancy」 を利用する

執筆日時:

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Nancy is a lightweight, low-ceremony, framework for building HTTP based services on .Net and Mono. The goal of the framework is to stay out of the way as much as possible and provide a super-duper-happy-path to all interactions.

Hosting Nancy with asp.net · NancyFx/Nancy Wiki · GitHub

Scott Hanselman 氏のブログ(One ASP.NET: Nancy.Templates for Visual Studio - Scott Hanselman)で知ったのですが、 「Nancy」なんてのがあるんですね!

前々からこういうのがほしいなって思ってたんですよね……。

個人的に一番おすすめなのは Pure HTML または Razor (ASP.NET Web Pages)かな。 HTML5/CSS3(Pure HTML)で書くところからはじめて、変数とテンプレート、初歩的なデータベースが使いたくなれば Razor へ進めばいい。もっと大規模なWebサイトであれば、 ASP.NET MVC が利用できるけど、これはちょっと個人用途にはデカすぎる気がした(その中間に、 Ruby で言えば Sinatra とか、軽いフレームワークがあればいいなぁ、と思う)。仮想化だのクラウドだのという言葉を忘れて、 HTML ファイルひとつ、ぽつんと Azure Web Sites に置くところから始めてもらえればと。

#GoAzure に行ってきました! - だるろぐ

で、試そうかなって思ったまま、ちょっとストアアプリの方に浮気している間に、しばやん氏がいろいろ調べてくれていました。

ありがとう! さっそく WebMatrix で動かしてみますかネ。

ちなみに、Nancy は Frank Sinatra のお嬢さんです(ナンシー・シナトラ - Wikipedia)。Sinatra の名前も Frank Sinatra から来ているはず。

NuGet パッケージのインストール

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NuGet Gallery | Nancy.Hosting.Aspnet 1.4.1 をインストール。NuGet Gallery | Nancy 1.4.5 のインストールに加え、Web.config の構成(Hosting Nancy with asp.net · NancyFx/Nancy Wiki · GitHub)なんかもしてくれるみたいです。

App_Code に Nancy Module を記述

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このブログではすっかりお馴染み、App_Code フォルダに C# を記述するスタイルを今回も採用。Web Matrix には Razor C# の補完機能はあっても C# の補完機能はないので、Visual Studio にスイッチしてゴリゴリ書くのがおすすめ。まぁ、この程度ならインテリセンスはなくてもいいけど。

基本的なパターンの記述(Literal segments)

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public class SampleModule : Nancy.NancyModule
{
public SampleModule()
{
Get["/"] = _ => "Hello World!";
}
}

GET、POST、PUT、DELETE……といった動詞(メソッド)にインデクサでパス(パターン)を指定して、レスポンス(アクション)をラムダ式でブチ込むだけ。簡単━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

パラメーター(Capture segments)

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public class SampleModule : Nancy.NancyModule
{
public SampleModule()
{
Get["/{id}/is/homo"] = _ => {
return string.Format(
"{0} はホモです",
HttpUtility.UrlDecode(_.id)
);
};
}
}

パラメーターも扱えるみたい。

ほかにも /{name?} でオプションパラメーター(なくてもいいパラメーター)や、/{name?unnamed} でデフォルト値を指定したパラメーターなんかも使える。

正規表現(RegEx Segment)

本家 Sinatra は正規表現なんかも使えたと思うのだけど、正規表現リテラルのない C# ではちょっと難しいかな?

Delete[@"/products/(?<id>[\d]{1,7})"] = parameters => {
return 200;
};

……と思ったらぜんぜんイケるし。

以上、おおまかに3種類のパターンが指定できる。

ビューとビューモデル

実はこのままだとビューを返すことは出来ません。Nancy はデフォルトでビューエンジンを持っていないので、使いたいビューエンジンを NuGet からインストールする必要があります。

現在公開されている Nancy 用のビューエンジンは以下の通りです。

  • Nancy.Viewengines.Razor
  • Nancy.Viewengines.Spark
  • Nancy.Viewengines.DotLiquid
  • Nancy.Viewengines.NDjango
  • Nancy.Viewengines.Nustache
  • Nancy.ViewEngines.NHaml
  • Nancy.Viewengines.Parrot
  • Nancy.Viewengines.Markdown

これは NuGet のパッケージ ID となっているので、使いたいものをインストールしてください。今回は面白そうだったので Markdown を選択してみました。

Sinatra ライクな .NET 用軽量 Web フレームワーク「Nancy」を使ってみた - しばやん雑記

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わしも今回は Markdown を使ってみたのだけれど、リポジトリのソースを WebMatrix パッケージから NuGet 公式に変更しないと検索で出てこなかった。WebMatrix にもコマンドラインでインストールする手段があればいいなぁ(もうあるのかな?)。

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public class SampleModule : Nancy.NancyModule
{
public SampleModule()
{
Get["/view/{id}"] = _ => {
var model = new { Id = HttpUtility.UrlDecode(_.id), };
return View["Page", model];
};
}
}

使い方はこんな感じ。ビューは Page.md としてルートに配置しておいた。

<!DOCTYPE html>

<html lang="en"> <head> <meta charset="utf-8" /> <title>@Model.Title</title> </head> <body> <p>@Model.Id はホモです。</p> </body> </html>

ビューモデルを dynamic で渡してやれば、ビューが分から参照できる*1。どうにかしてレイアウトを使えるようにしたいな。

まとめ

  • WebMatrix からも問題なく利用できる
  • メソッド、パターン、アクションを指定するだけ
  • パターンには Literal、Capture、Regular Expression の3つが利用できる

ASP.NET Web Pages(WebMatrix)はファイル指向で、ファイルを増やして“静的なコンテンツ”を増やすアプローチ。個人向け Web サイトをちょっと動的に実装したい場合などに向いている。

Nancy/Sinatra はパターン・アクション指向。パターンを記述していくことで、“機能を動的に”追加していける。Web API に実装に向いてそう。

もちろん、二つを組み合わせてもよいと思う。関連 NuGet の名前を眺めているだけでもかなりのことができそうなので、これからもちょくちょく試してみたい。

*1:参照できなければ ERR! が表示されるようだ