『西洋哲学史 1 「ある」の衝撃からはじまる』
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あんまり「哲学史」っぽくないな、と思った。
実態は論文集で、共通の論点でゆるやかに繋がりつつも、論者がそれぞれの興味のおもむくままに書いている感じ。これはこれで楽しめる人もいるのだろうけど、個人的にはちょっと興味をハズすところがあって、お値段ほどには楽しめなかった。あと、カントやハイデガー、ニーチェなどが普通に出てくるので、これで「哲学史を学ぼう」と思って購入したら、おそらく爆死する。ある程度勉強してからチャレンジしないと、時間を無駄にしてしまうね。
とはいえ、『「ある」の衝撃からはじまる』というキャッチコピーは素敵だな、と思った。
「ある」と思えば、「ない」ということも考えずにいられない。でも、「ない」ってどういうこと? 「ない」という状態が「ある」と思っている――たとえば、今月もお金が「ない」なぁ……とか!――のは、なんだか不思議だ。
結局、その不思議が、自分自身のことを知るためのわずかな論理の綻びであり、突破口だった。あとは、理性を鍵に存在について考えたり(デカルト)、それではおかしいと思うあまり「あれ? ぶっちゃけおれらって何も感覚できてなくね?」って思ってしまったり(ヒューム)、そこからまた観念の役割に想到したり(カント)。僕たちが認識している世界と、実際にある(?)世界は、実はぴったり一致していないらしい。
そのことを初めて指摘したアナクシマンドロスという哲学者のことを、僕はあまり知らなかったけど、確かにこの人から哲学が始まったといってもいいかもしれない。それを知ったのは、だいぶ楽しい。
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『ソフィーの世界』の冒頭に似てると思った。高校以来読んでないから、もう一回読んでみようかな。