『人間不平等起源論』
執筆日時:
ジャン=ジャック・ルソー『人間の不平等の機嫌と根拠についての論文』
ローマ史に関する部分は、マキァヴェッリの『論考』を多く参照しているとのこと。
目次
1. 第一部
さまざまな哲学者から提出された"自然状態"論の検討と批判
2. 第二部
所有権の発生、文明の発展と格差の拡大
社会的な(moral)不平等は、実体法にだけによって認められたものであり、自然の不平等に比例したものでない場合には、つねに自然法に反するものである。
抜き書き
私が望ましいと考える祖国、それは幸いにも無力であるために、征服欲という残酷な欲望に駆り立てられることがなく、地の利に恵まれていて、他の国からの征服されるおそれのない国です。(P.14)
利己愛を作り出すのは理性の力である。そして省察がそれを深める。(P.106)
どのような対策を講じたとしても、体制そのものの欠陥は、どうしても是正できなかった。スパルタの法を定めたリュクルゴスのように、まず敷地を掃除して、古い材料をすべて捨ててから、新しい建造物を立ててこそ、立派な建物が建てられるのに、人々はいつも瑕疵の修繕ばかりしていたのである。(P.159)
論点
- 二種類の不平等とはなにか?
- "自然状態"論の検討
- ルソーの"自然状態"論の欠点
- "憐れみの情"は本当に自然な人間に備わっているか
→性善説(惻隠の情)・性悪説
→方法論的性悪説
- 文明の発展は堕落をもらたしたのだろうか、洗練をもたらしたのだろうか
→18世紀フランス経済学
- 自然法・市民法・実定法・社会法