「われわれは利益を追求せず、愛するWebを守るために戦っている」

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筆者は個人的に、非営利かつオープンソースであることの美徳を訴えるよりも、MozillaFirefoxの利点に関してもう少し積極的に強調すべきだったのではと思う。ビデオでは、Firefoxの「Do Not Track」機能やモバイル・Webブラウザとしての特性、Webアプリケーションとの連携などが簡単に言及されていただけで、これらの詳細な解説はなかった。Firefoxが株主の利益に縛られていないことはわかったが、営利目的のWebブラウザがユーザーやインターネットの利益とならない具体的な例が欠けている。

ピンチに陥ったモジラ、「Firefox」の意義をあらためて訴える|Webブラウザ|トピックス|Computerworld

土曜日は Mozilla のイベントに参加してきたのだけど、当然のことながら、この話題も挙がった。

個人的には「自由なWebを守る」という大義名分にはそんなに心動かされないのだけど、そういうヒト達がいるのは重要だと思う。でも、Mozilla の周りにヒトが集まるのは、「自由なWebを守」っているからではなくて、やっぱりソフト自身に魅力があったり、結局はソフトに関わることがお金になるからなんじゃないかな。

非営利かつオープンソースならば、「(特定の)株主の利益に縛られていない」。確かにそれは利点だけど、じゃぁ、だれがその団体をコントロールするのだろう。たとえば、一般ユーザーや法人ユーザーが Mozilla に対してなにか影響力を行使したい場合(××機能をつけてほしい、○○を改善してほしいなど)、どうすればいいのだろう。無論、フィードバックを送ることはできるのだけど、それに従うかどうかの自由は完全に Mozilla にある。タダで作って使わせてあげているんだから、まぁ、これは当然と言える。嫌なら自分でフォークすればいいわけだ。でも、一方で一般ユーザーにも使ってもらいたいとマーケティングしてるわけだよねGoogle から得た収益を使って)。なんだか、そこだけポッカリ穴があいているように感じる。片方に自由なWebという理想に燃えるプログラマーがいて、もう片方に検索してお金を産むだけのユーザーがいる。その間は?

Google Chrome」やら「Opera」を彷彿とさせるデザインの「Firefox 4」が出たのは今年3月。その後、「高速リリースサイクル」でバージョンナンバーを重ね、来週には年内最終リリースとなる「Firefox 9」が出る。その間、いろんなユーザーを"振り落とし"てきたのだけど(これはシェアの凋落が語る厳然とした事実だ)、それに対して何か反省があったのだろうか。法人ユーザーの要望は取り入れてリリースサイクルを見直すようだけど、一般ユーザー向けにはとくになにもない。これからも気まぐれに配布されるアップデート(普通の人はそう思うだろう)を充てて、気に入った拡張機能が少しずつ使えなくなっていくのを我慢していくだけのようだ。この一年で、Firefox とはだいぶ距離ができたな、と感じられてならない。

Firefox が存在する意義は大きいけれど、それだけでは Firefox を選択する理由にはならないのに。Firefox は確かに「自由な Web」を守ってるのかもしれないけれど(お疲れさま、ありがとう!)、最近の Firefox が「ぼくの自由」を広げてくれているという実感はあまりないな。

愛する Web を侵略する(守らない)ブラウザーを使うユーザーは悪なのだろうか。ちょっと興味ある