共和国について

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きょうわ‐こく【共和国】
共和制をとる国家。

きょうわ‐せい【共和制】
主権が国民にあり、直接または間接に選出された国家元首や複数の代表者によって統治される政治形態。少数の特権階級に主権がある貴族的共和制・寡頭(かとう)的共和制などがあるが、一般には国民の意志に基づく政治が行われる民主的共和制をいう。

『デジタル大辞泉』きょうわこく【共和国】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

古くは「共和国 = not 王国」ととらえられていた。しかし、法治主義と民主主義が成熟するにつれて、人民と法による支配があれば、見かけ上の政体を問わない態度が一般的になる。

私はだから、その統治形態がいかなるものであれ、法によって治められる国家をすべて、共和国と呼ぶ。なぜなら、その時はじめて、公共の利益が支配するのであり、公共の事柄(la chose publique)は重要だからである。すべての正統的な政府は共和的である。

共和国という言葉によって、私は貴族制か民主制かだけを意味するのではない。一般に、一般意志、すなわち法によって導かれるすべての政府を、意味している。政府が正統的であるためには、政府は主権者と混同されてはならず、主権者の下僕でなければならない。その場合は、君主制でさえ共和的である。

ルソー『社会契約論』第二篇第六章「法について」

こうして、すべての人々の結合によって形成されるこの公共的人格は、かつて都市国家(ポリス、City)という名前をもっていたが、今では共和国(Republic)ないし政治体(Political Corporation)という名前をもっている。この政治体はその構成員から、受動的には国家(State)と呼ばれ、能動的には主権者(Sovereign)と呼ばれ、同類のものと対比するときは国(Nation)と呼ばれる。結社の構成員については、集合的には人民(People)と呼ばれ、個別的には主権に参加するものとして市民(Citizen)と呼ばれ、国家の法律に服従するものとしては臣民(Subject)と呼ばれる。

ルソー『社会契約論』第一篇第六章「社会契約について」

共和国とは、単なる国家の一形態ではない。放置しておけばやがて失われる「公共なるもの(res publica)」を維持しようと努める精神の動的平衡である。

王国ならば、服従と引き換えに王が臣民へ権利を与える。共和国では、市民それぞれが自分を支配する王となり、互いに権利を与え合う。

ところで、人間の法・権利にもっとも適した体制は共和的な体制であるが、これは樹立するのがもっとも困難であり、維持するのはさらに難しい体制である。この体制は、 "天使"たちだけにふさわしい国だと言われることも多いほどである。

カント『永遠平和のために』

あなたはフィレンツェ人たちのたいへんな志操堅固さを、またそれがこのように作られた共和国を愛するがゆえであることを、間違いなくご存じでしょう。あなたのご主人の志操堅固さは、たとえ偉大極まりないとしても、束の間のモノです。なんとなれば、それは一人の人間の生涯の間しか安定できぬからです。しかし共和国は続くのです。

カヴァルカンティ『フィレンツェの歴史』